高知旅行報告

高知旅行報告  秋葉 俊一(幹事)

2016メール碁会通信(40)2016. 10. 8 掲載

今年は台風が多く天候不順が続いている。「四国旅行の障害にならなければ良いな」と思っていた矢先、幹事の吉田さんから「望田さんが右肩の障害があり22日に手術を行う」との一報を受けた。前回は肝臓の手術、今回は肩、いくら望田さんでも「今回は難しいかな」と思ったが、そこは超人と言われるだけあって直ぐに「退院」との連絡が届いた。後で聞いた話だが、どうも望田さんは医者に無理して退院を交渉した上、四国旅行については奥方に直前まで言わなかったようだ。私が家内にそんな振る舞いしたらとんでもないことが起こっても不思議ではないのであるが、改めて人間力のすごさを感じさせられた。こんなことがあってもうこのような事がないと思っていたら今度は「内久根さんが昨日転んで肋骨を骨折」との連絡を受けた。内久根さんと言えば「小学校の授業に囲碁を」という署名活動10万人分を行った大変精力的で活動的な大先輩の超人である。傘寿を過ぎたにも関わらず海外、国内共にいつも一緒に積極的に行動してくれるのが何よりうれしい方だ。今回この二人の超人と一緒の旅が始まった。

旅行記を書くネタを得るべく待ちわびていた心とは裏腹に、心配していた超人お二人の身体もまったく問題がなく、羽田空港を経ち高知空港そして高知駅バスストップと順調に進んだ。辺りをきょろきょろと周りをも渡すとそこには2名の年配者が幟を持ってベンチに座っていた。驚くことに「歓迎メール碁会」と書かれた幟を持った二人がニコニコと笑って我々を迎えてくれた。早速挨拶と握手をしたが何とも不思議な心境に陥った。そこには何年もそして何回も手痛い目にあっているあの明神さんがいたのだ。メール碁会であんなに有名な第三の四国の超人が目の前にいたのであるが、イメージとは少し違いいたって普通の人柄の良いおじいさんという感じである。メール文やレスポンスの速さから勝手に描いていたイメージとは少し違っていた(明神さん ごめんなさい)。 後で本人から聞いたのであるが、「85歳」とのことであるがとてもその年には見えない。早速、その足で坂本碁会所に直行し待ち望んでいた碁会が始まった。

明神さんとあたったらいつもの碁とは異なった手法で戦おうと思っていたら運良く明神さんと対局する運びとなった。手合い上、私が白で考えていた通りに、最初からファイト中心で地を考えないで戦ったが、まったく妥協した手がない。途中こうすれば勝てるかなと思った瞬間があったが、最後まで戦う手法を押し通した。明神さんの碁は石が張ってとても若々しく強い碁で、結果として盤面6目負けとなった。悔しいというより明神さんの着手に圧倒されたみたいだ。本当に強い。最終的に四国の方の圧倒的勝利で終わり、その興奮が冷めやらぬ状態で宴会場に向かった。    (つづく)

前田さんが勧めてくれたのは「司」という四国料理のとても高級感のある料亭であった。早速明神さんに「酒は何段ですか」と聞くと「一級」とのことで宴会が始まった。本人の申告とは別にあの上村さんと酒を酌み交わしたことから考えると5段は間違いない。結論として、四国の超人は健康、囲碁、酒どれをとってとびぬけたレベルであることを再認識させられた。

合わせて、話してくれた人生観や人間力の強さはこれから生きていくため極めて大きな勇気を頂いたような気がした。

次の日、この旅のメインイベントである「四万十川」に行くべくバスに乗った。高知県は室戸岬から四万十市に至るように横に長いことから3時間のバス旅だ。少し疲れを感じたが、四万十川の屋形船乗り場に到着したおなかも空いていたことやバスが長いこともあってかボーっとしていたが、船に乗り込むとまったく気分が一転した。食べながらの屋形船は本当に快適で、鏡のような水面や底が見えるきれいな流れは感動の世界そのものだ。感性の高い望田さんや吉田さんなどは船の先頭に出向きドアを開けて甲板にたっていた。経験したことのない素晴らしさに圧倒され我を忘れた。その感覚は文字で形容できないほどで、ぜひ一度は訪れることをお勧めしたい。皆さんは四万十川の本流にはダムがないことをご存じであろうか? 従ってダムによる水量の調整機能を持たないため大きな台風が来ると、川が何十メータも上昇することがあるとのことである。そのようなときは今駐車しているこの場所も水没するとのことを聞いた。

四万十川は四国内で最長の川で、流域面積も吉野川に次ぎ第2位で、「日本最後の清流」と称されているとのことであるが、訪れてみて本当の価値が解る。

旅行も最終日となりレンタカーで牧野植物園に向かった。今日は台風のせいなのか、やたらに湿度が高く少しコンデションも悪かったが、植物の種類に多く見ごたえがある。幹事の吉田さんが入場する際、この中にあるレストランで食事をするために予約をしたのであるが、あの温和な吉田さんが怒っている。どうもレストランの担当者の応答が悪かったようだ。かなり怒っていたが、さすが抑えるとことは抑え、直ぐに判断を切り替え龍馬記念館に向かった。このよ

うな部分は比較的人間性が出やすいとされるが、吉田さんの行動は良いお手本を得たような気がした。坂本龍馬記念館では片手を懐に入れているあの特徴的な写真が中心に飾られ、龍馬が書いた手紙がたくさん展示されていた。この分野に詳しい望田さんの説明を聞きながら時間が過ぎて行った。

次に桂浜に向かった。桂浜ではウィークディにも関わらずすごい人たちが大きな声を上げていた。どうも外国の大型客船が入港してその方たちが来ているらしい。どうもあの大きな声は生理的に好きではない。メール碁会の参加メンバーも同様に感じたのか早々に観光も早く切り上げ、駐車場に戻ってきた。途中説明を割愛したが、初日、2日目のバス旅行、そして最終日、全工程に前田さんと明神さんが同行してくれたのだ。皆さんはどのように感じるでしょうか?

私は今回の旅を通じて素晴らしい人がいること、まだまだ知らないことが多いこと、そして生き方や接し方はどうあるべきかなど学ぶことができたように思えた。

趣味の会という領域を超越するようなメール碁会の3名の超人、そして素晴らしい幹事の吉田さんや皆さん本当にありがとうございました。吉田さんこの次も期待し旅行記を終わりとします。

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