2022メール碁会通信(21)
2022. 5. 28
第1期新竜星戦 一力棋聖が王座に 清永 忠
新設の第1期新竜星戦の決勝三番勝負は、一力遼棋聖が許家元十段を2連勝で破って初代王者となった。この大会は、持ち時間各1分で対局をスタートし、一手打つごとに5秒が加算される「フィッシャー方式」で行われた。
竜星戦の成績上位者ら32人が出場、 井山裕太王座は準決勝まで進んだが許十段に敗れた。藤沢里菜女流本因坊、上野愛咲美女流棋聖がそろってベスト8 に進出するなど 女性棋士の活躍も目立った。
本棋戦は非公式戦で、優勝賞金は200万円。
囲碁好き有名人(4) 清永 忠
【ビル・ゲイツ(1955~)とステイーブ・ジョブス(1955~2011)】
今回はアメリカのIT業界の2人の巨匠と囲碁との関係を紹介しよう。
マイクロソフトの創業者であるウィリアム・ヘンリー・ゲイツ(通称ビル・ゲイツ) の囲碁の実力は相当のもの。ハーバード大学で学んでいた時に生活を共にした韓国出身の留学生から手ほどきを受けた。
そこからメキメキと実力を上げたゲイツは、ハーバードに碁の上手な学生がいなかった事から、近隣で碁の実力者が多くいるマサチューセッツ工科大学まで出向いて手合わせをしていたという。
以前、立教大学から名誉博士号を授与された時に副賞は卓上碁盤と碁石であったとのことで、数年前のエイプリル・フールには翌年度のマイクロソフトの新卒入社枠に「囲碁枠」を設けるという嘘の広告を出すなど、ゲイツ氏の囲碁に関するエピソードは多い。
一方、ゲイツのライバルで、アップルコンピュータの創業者であるスティーブン・ポール・ジョブスも囲碁好きだった。大学生のときに宗教やヒッピー文化、東洋思想に没頭して大学を中退。ヒッピー文化の聖地インドに行く旅費を稼ぐために「楽しく金を稼ごう」というキャッチフレーズに惹かれて「アタリ社」の面接に行く。そこで親日家で創業者ノーラン・ブッシュネルに採用される。ジョブズはブッシュネルを「生涯の師」と仰いで敬愛、2人は哲学について話し合い、特にジョブズは仏教、儒教、神道について語った。そんな東洋思想に没頭して、囲碁が大好きなブッシュネルの影響で囲碁を始める。
なお、「アタリ」という社名は囲碁用語の「当たり」から来ており、当然ながら日本びいきのブッシュネル(アタリのロゴマークが富士山をモチーフにしているところからで明白) も日本棋院認定の初段である。
そんな環境下にいると囲碁に関心を持たないはずがなく、Apple創業後の来日の際は、江戸川橋の平井碁盤店で7万円の碁盤も購入したという。棋力については、仕事の忙しさもあり級位で止まっているという。更に、ジョブスはブッシュネルからビジネスの「起業」に関するノウハウを学んでいる。以上のような背景でゲイツとジョブスが対局したかも知れないが、できればジョブスが生きている間に日本で公開対局というのを企画してもおもしろかったと思う。
なお、囲碁は探究力や判断力、相手の考え方を読む事を養う上では役立つし、それを応用して今は亡き数学者のジョン・フォーブス・ナッシュは「ヘックス」というゲームの元となるモノを考え出したという。
理系頭脳を夢中にさせる魅力がある囲碁、それはかなり奥深いゲームである事は間違いない。
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