2022メール碁会通信 (14)

 2022.  4.  9

「初代俊英」に許家元十段     清永 忠

囲碁の第1回俊英戦決勝三番勝負の第2局が2日、日本棋院東京本院内で行われ、許家元十段(24)が238手までで、芝野虎丸九段(22)に白番中押し勝ちし、2連勝で優勝した。タイトル獲得は通算5期。

俊英戦は25歳以下に参加資格がある新棋戦。2リーグに分かれて6人総当たりで戦い、各リーグで1位になった両者が決勝に進んでいた。許十段は「自分としてはできすぎ。実力以上のものが出せたかな」と話す。

昨年12月に行われた俊英戦リーグで、佐田篤史七段や大竹優五段らを破った。今年初めに別の棋戦で敗れたが、その後、公式戦14連勝の快進撃で「初代俊英」に就いた。

昨春の「大和ハウス杯 第59期十段戦五番勝負」で芝野十段(当時)からタイトルを奪った許十段。その後、トーナメント戦である「第30期竜星戦」決勝では、芝野九段が許十段を破り優勝するなど、両者は大舞台での対決が続いていた。敗れた芝野九段は「リーグ戦も苦しい碁が多く、決勝も内容がよくなかったのは残念」とふり返った。

決勝の棋譜は添付ファイルにしてあります。

 

許家元・十段位を防衛     清永 忠   

第60期十段戦五番勝負の第3局が7日、長野県大町市の「ANAホリデイインリゾート信濃大町くろよん」で行われ、許家元十段(24) が 余正麒八段(26) に勝ち、公式戦15連勝で初防衛を決めた。台湾出身者同士が七大タイトル戦で対決するのは4度目。

両者はいずれも台湾出身の同世代で仲がよく、切磋琢磨してきた間柄だ。 許十段が大阪で対局がある際は、関西棋院所属の余八段の自宅に泊まることもある。昨年末にはもう一人の台湾出身棋士を加えた3人で旅行にもでかけ、今回の五番勝負中は2人で宿舎内で卓球に興じたり、露天風呂で語りあったりもした。ただ対局となると、態度は一変。 ともに目を合わせることはなく、盤上に覆いかぶさるように読みに没頭するため、 両者の頭がぶつかりそうになる場面もしばしばだった。

許十段にとっては余八段はあこがれの存在だった。 15歳で許十段が プロ入りした平成25年、5年目の余八段はすでに若手トップクラスの実力者だった。「インターネット対局を申し込んだが対戦してもらえなかった。自分の名前など知るはずもないし・・・」と許はふり返る。

実力をつけた許十段は、 余八段らと一緒に海外での交流戦に派遣されるようになり、親交を深めた。余八段から学ぶことも多かった。 序盤から考慮時間を使う長考派の許十段は、戦闘的でありながらバランスもとれた余八段の打ち方を取り入れたという。「弟みたいな存在で、タイトル戦で当たるのは不思議な感じ」(余八段)。 許十段の初防衛は、同郷の先輩棋士への恩返しだった。

決勝の棋譜は添付ファイルにしてあります。

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