2021メール碁会通信(47)

2021.11.27

池康郎氏の生涯(2)   清永 忠

  (前号の続き)

② 囲碁界への貢献時代

緑星学園には全国から英才が集まった。子どもたちの性格を的確につかみ、1人1人の個性を伸ばせるように指導していた。82年にデビューした村松竜一八段(58)を筆頭に、後に開花する多くの錚々たるプロ棋士たちが育っていった。

青木伸一 (56)、妹の青木喜久代8段(53)、山下敬吾九段(43)、秋山次郎9 段(53)、加藤充志9段(47)、溝上智親9段(44)、鶴丸敬一7段(51)、高野英樹7段(51)などである。なお、弟子となったのは、今年の女流本因坊戦挑戦者になった星合志保三段(24)だ。

 他

 また、「東日本子供囲碁大会」も98年から企画、開催し、自らも「全国こども囲碁普及会」の代表を務めた。その後「ボンドカップ全日本こども大会」「ジュニア本因坊戦」へと発展した。同学園の出身者で、日本棋院常務理事の青木喜久代8段は、「学園内での規律やルールには厳しかったし、私は立場が上の年長者だったこともあり、後輩の面倒をよく見るように言われていた。個人的には優しく、タイトルを獲得した時にはお祝いやねぎらいの言葉もかけてもらえた。師匠でもあり、囲碁界の父親的な存在でもありました」と、話していた。また、棋聖、名人、本因坊など多くのタイトルを獲得した山下九段は、「先生のおかげで、囲碁の本当の楽しさを知ることができました。今後も先生の人まねの碁は打つな、という教えを胸に刻み、研鑽に励みたいと思います」と語る。

 1992年、日本囲碁ジャーナリストクラブ賞を受賞。1994年、日本棋院より大倉喜七郎賞が授与された。2000年7月、第40回アマ十傑戦で通産9回目の優勝となり、 大会最多優勝記録を更新する。

 2010年には、名誉アマチュア本因坊の称号が贈られ、過去4回以上の優勝者の菊池康郎、原田実三浦浩中園清三平田博則の5名が主催の毎日新聞社より顕彰を受けた。2014年、一般社団法人全日本囲碁協会発足、理事長に就任。また社交ダンス で、全国大会十傑に入った経歴も持つ。

 2021年11月3日、老衰のため死去、92歳だった。

 

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