2021メール碁会通信(12)

 2021.  3. 27
 ロゴは武田秀夫さんの善福寺川桜(水彩画)です。

科学者と囲碁・将棋          清永 忠

かってNHKの解説で、武宮九段がアインシュタインは実は囲碁ファンだったと話していた。

調べてみると、プロ棋士の福田正義氏が、アインシュタインと湯川秀樹の囲碁対局をセットしようとしたところ、実は湯川秀樹は結構囲碁が強かったので、アインシュタインが引いてしまったとのこと。従って棋力は、初心者に毛が生えた程度のレベルかもしれない。

ちょっと話題を拡げてみると、有名な数学者の村五郎氏は、将棋ファンで、創作した詰将棋が詰将棋パライダイスという、その分野の専門家で有名な雑誌に掲載されたことがあるという。また、数学者の矢ケ部巌氏も将棋が好きなようで、将棋世界の詰将棋コーナーの創作者として知られていた。さらに、数理論理学者・情報科学者である野崎昭弘氏には「ロジカルな将棋入門」筑摩書房という著書がある。数学者は、囲碁よりもむしろ将棋が好きなのだろうか。

ただ、このように話題になるくらいだから、あるレベル以上の科学者で、囲碁・将棋の強豪という人は実は稀である。それは、囲碁・将棋をやりすぎると、脳のリソースを消費しすぎて、本業が疎かになってしまうからかもしれない。例外として真の囲碁強豪で、学問的な業績もある人といえば、東北大学の徳山豪教授くらいでがなかろうか。徳山氏は、東大在学時代に、囲碁部で、関東地方でトップクラスの強豪であったそうだ。

ところで、上記の武宮九段の解説だが、武宮九段は終盤の細かい地の計算が好きではないとのことだ。でも、学生時代は数学は得意だったそうで、武宮九段の数学も、計算よりも感覚だったのかもしれない。アインシュタインだって、リーマン幾何学の細かい計算は得意でなく、数学的理論の細部は、畏友のミンコフスキーあたりに負っていた。最初の配偶者で数学者だったミレーバ・マリッチに数学的な不備を指摘されたりしたともいわれる。そんなところから、囲碁の幾何性がアインシュタインにしっくりきたのだろう。徳山豪教授の専門も、計算幾何学である。

 

棋戦情報                清永 忠

(NHK杯・一力優勝)

「第68回NHK杯トーナメント」の決勝は3月21日に放送され、一力遼碁聖が余正麒八段を破り、優勝した。一力碁聖の優勝は2年ぶり2度目。棋譜は添付ファイルにしてあります。

 

(十段戦第2局)

 「第59期十段戦五番勝負」の第2局が3月24日、滋賀県長浜市の「ホテル&リゾーツ長浜」で行われ、芝野虎丸十段(21)=王座= が157手までで、挑戦者の許家元八段(23)に黒番中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗とした。 第3局は4月8日、長野県大町市の「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」で行われる。棋譜は添付ファイルにしてあります。

 

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