2020メール碁会通信(34)

本因坊秀策小噺(3)           清永 忠

「囲碁の島」として知られる広島県尾道市因島に、2007年に因島市と尾道市の合併記念事業

として秀策の生家復元と資料展示が決まり、2008年に本因坊秀策囲碁記念館が開館した。

記念館の隣が石切風切神社で、そもそも生家があったところ。1926年その前に「本因坊秀策碑」

が建立されたものの、1972年老朽化に伴い生家(写真右下)は取り壊された。 そのため本因坊

秀策碑は神社内にあり、記念館ができるまではここに秀策の資料を展示保管していた。

また、記念館正面山手の地蔵院に秀策の墓がある。 

秀策が受けた教育は、碁の修行を通して、人としての品格も身につける人間形成の学びであり、碁に

秀でていただけでなく、書家の竹雪道人について書を学び、師の筆蹟と判別できないほどの腕まえで

あったといわれている。書の多くは後世に伝えられていないものの、石谷広策に与えた「囲碁十訣」

や愛用の碁盤に記した「慎始克終 視明無惑」の銘、父母に送った手紙等が残っている。         
秀策の布石は秀策流と称され、今日の対局においても見ることができる。秀策の残した棋譜は450局

以上、秀策の棋譜を並べると段が上がるといわれるほどで、現代のプロ棋士の多くもその手筋に学び、

一度は並べたことがあるといわれている。秀策はその棋力と人格により碁聖と呼ばれているが、これ

までの多くの棋士の中で、碁聖と崇められるのは第4世本因坊の道策と秀策の二人だけで、その偉大

さがわかる。  (おわり)