「談話会」橋元淳一郞氏講演  

橋元淳一郞氏講演  報告 吉田 道人
2016.12.17 2016メール碁会通信(50)

 

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12月6日 談話会を開催した。講師は関西にお住いの橋元淳一郞さん。メール碁通信に何度も寄稿されているので、多くの方がご存じだと思う。 (橋本氏のブログ

橋元さんは京都大学物理学を修められた碩学で、長年相愛大学人文学部教授を務められ、現在は同大学の名誉教授である。その傍ら、日本SF作家クラブの会員として多数の本を著され、また最も人気の高い予備校「東進ハイスクール」で物理の教鞭をとられている。談話会の会場はホテルニューオータニ・ガーデンコート内にある多目的ホール「紀尾井フォーラム」。150インチの大型スクリーン/ハイビジョンプロジェクターがとても見やすい。

参加者は44名。会員24名とそのご家族、ご友人が20名。

講演のテーマは「時空と生命――宇宙ビッグバンから細胞まで」。当日配布されたレジュメには、「我々の体は原子で構成され、化学反応によって生きていますが、原子は陽子、 中性子、電子からなり、陽子と中性子はさらに小さなクォークから出来ていると言われています。ビッグバンの瞬間、どのようにしてそれらの素粒子が生まれ、それらがいかにして物質と生命を形成してきたのか、宇宙の驚くべき精妙な仕組みについて、やさしく分かりやすく解説します。」とある。講演の内容は、ビッグバンから始まり、宇宙のはじめの3分間、星による元素の生成、 電気力が支配する生命現象、 分子機械としての生命現象と多岐に亘った。 宇宙の原理についての話はとっつきにくく難しい。受け取り方も人それぞれだと思われるが、聞き手の眼は未知のものに触れるような好奇心に満ちていた。

そんな雰囲気の中、印象的なフレーズが出てくると記憶に強く残るものだ。橋元さんがスクリーンに元素記号表を映し出してこう言った。「我々の身体は星から出来ているといってもおかしくない。」強烈なキャッチフレーズである。生命を構成している元素はビッグバン直後にはなく、超新星爆発によって生成されたものであると説明された時にこのフレーズが出た。新しい真理を知った喜びに浸った人が多かったのではないだろうか。

講演の中で、宇宙に存在するとされながら見つかっていない謎の「暗黒物質」についての説明があったが、談話会2日後の8日に産経新聞が、「暗黒物質の証拠を、米欧などの国際チームが発見した可能性があることが分かった。国際宇宙ステーション(ISS)で観測したもので、9日に発表する。発見が確定すればノーベル賞級の成果となる。」という記事を出した。見つかれば世紀の大発見だ。まだ発表はないが早く知りたいものだ。

懇親会の最後にこれからの宇宙はどうなるかという質問に対し、現在の理論予測では、数兆年後の宇宙は星が燃え尽き冷たく暗い世界が残ると説明があった。暗い話ではあるが、壮大な宇宙の歴史の中で、人類が特別な時代に生命をうけているという認識をもち、毎日を生きていくことが大切なことだと教えてくれたような気がした。

これからも宇宙にもっと関心をもちたいと思った。

講演後は、同じ会館の4Fでの懇親会に29名が席を移した。講演会時とは雰囲気も一変し、和やかな雰囲気の中で講師への質問が噴出。2時間ほどの質問攻めで、 橋元講師もさぞお疲れだったこととお察しした。

橋元さん、日頃滅多に聞くことのできない素晴らしい講演をしていただき、また、多くの質問にも丁寧に応対していただいたことに深く感謝申し上げます。宇宙ファンが増えると思います。ありがとうございました。 以上 

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