2024メール碁会通信(48)
2024. 11. 30
アルファ碁開発・ノーベル受賞ハサビス氏と井山三冠が対局 清永 忠
今年のノーベル化学賞受賞者で英国の人工知能(AI)研究者のデミス・ハサビス氏(48)が21日、東京・市ケ谷の日本棋院を訪れ、井山裕太三冠(35)と「幽玄の間」で記念対局した。ハサビス氏は世界で初めてトップ棋士を破った囲碁AI「アルファ碁」の開発者でもある。棋院は功績をたたえ、アマ最高位の九段免状を授与した。
◆アルファ碁で「囲碁の技術は革新的に進歩」
ハサビス氏が開発を指揮したアルファ碁は、プロ棋士の棋譜を学習する手法により、従来の囲碁ソフトから棋力を飛躍的に向上。2016年、韓国トップだったイ・セドル九段を破り、世界に衝撃を与えた。その知見を基にタンパク質の構造を予測するAI「アルファフォールド」を開発し、今年のノーベル化学賞に決まった。棋院の武宮陽光理事長は「アルファ碁の出現により、囲碁の技術は革新的に進歩した」と感謝を伝えた。免状を受け取ったハサビス氏は「囲碁のふるさとと言うべき日本棋院に来られて光栄。
過去、現在の囲碁をたしなまれる皆さんの取り組みがなければ、アルファ碁やアルファフォールドの開発はなかった。お礼を申し上げたい」と語った。
ハサビス氏はチェスの実力者で、学生時代に「数学的な美しさにひかれて囲碁を始めた」という。対局した井山三冠は「序盤の30手を打っただけだが、一つも悪い手がなかった。アルファ碁以降の最新の定石もご存じだった」と驚いていた。